高齢者の骨折とリハビリ

前回書いた通り高齢者は様々な骨折を起こしやすいですが、特に頻度が高いものの中に大腿骨骨折があります。
大腿骨の骨折は、高齢者に最も多く起こり、
特に骨粗しょう症を罹患している人では軽い転倒でも起こります。
ある調査では、90歳に達する人のうち、
女性の3分の1、男性の6分の1が大腿骨(股関節)を骨折していると言われています。

日本では2007年で約15万件もの発生があり、
さらに高齢化が急速に進んでいることもあって、
今後十数年で1.5倍~2倍に増え、
何と2042年には32万件程度まで増加することが予想されています。

大腿骨を骨折した多くの患者では、
脚を動かすことができなくなり、
立つことも歩行することもできません。
手首や足首ですと、
骨を元に戻してギブスで固めてという保存的治療も選択できますが、
大腿骨の場合、付け根という場所だけにギブスで固めることができず、
手術しないで治癒するのを待とうとすると、
1ヵ月以上はベッドの上ということになります。
病院のベッドに寝かせておくと、認知症の進行が早まったり、
体力が驚くほどのスピードで衰えていったりするリスクがありますから、
手術や麻酔がどうしても危険な方を除いて、多くの場合は手術が行われます。

しかし、手術を行えばそれで安心という訳ではありません。
大腿骨骨折は、術後のリハビリが何より重要です。

大腿骨骨折が特に問題になるのは、どうしても力が入る部分だけに、
動かすと痛みも大きいことから、身体を動かすのが面倒になることです。
しかし、だからと言って高齢者が身体を動かさなくなれば、
身体の筋肉が衰えてしまい、寝たきりとなり、
床ずれや肺炎などの合併症などを引き起こす原因ともなってしまいます。

ですから、回復期・維持期のリハビリが非常に重要になってきます。
このリハビリ選びで、その方の辿る術後の経過が大きく変わります。

病院によってリハビリできる時間が違う?!

例えば、老人が転倒すると御家族は慌てて救急車を呼びます。
2~3日後には、大腿骨頚部骨折の手術が行われます。
その後、病院にもよりますが多くの場合、
リハビリを目的とした転院加療が行われます。

まず、このときのリハビリ病院のリハビリ提供の体制によって、
患者様の経過が大きく変わってきます。
リハビリの内容・提供体制は病院ごとで差違があるためです。

その回復期のリハビリを行うリハビリ病院で、
1日何単位のリハビリを行っているのか?
リハビリの休日はあるのか?
といったことが、患者様にとってもご家族にとっても、非常に重要となってきます。

最近の回復期リハビリテーション病院では、
土日祝日休みなしのリハビリを行い、
早期社会復帰を目指しているところが多く、
そこでは患者1人に対し
1日に9単位までフルに使ったリハビリテーションを180分、
しっかりと行っています。

しかし、中には様々な事情により、
1日20分のリハビリを週5回、祝日があれば週4回になってしまう…、
といった病院もあるようです。

リハビリが十分に行われなかった場合、
1~2ヶ月で寝たきりや認知症になったり、
手足の拘縮や床ずれや栄養不良から胃瘻になったり、
家族が胃瘻を拒否した場合には鼻からチューブを使って栄養を補給する
経鼻胃管栄養となったりします。

しっかりしたリハビリを行っていれば、
寝たきりや認知症もそれほど驚くようなスピードでは進行しなかったかもしれません。
あるいは、胃瘻や経鼻胃管栄養にもならなかったかもしれません。
そのような可能性を考えると、
十分にリハビリを行うことの重要性をご理解いただけると思います。

在宅に戻ったあとも、継続したリハビリが大切。

大腿骨骨折の方は、退院後はすぐに、
私たちのような医学的エビデンスのあるリハビリに通っていただきたいと思っています。

術後、しっかりした回復期のリハビリを受けた方でも、
在宅に戻ってリハビリを継続しなければ、すぐに状態は悪化してしまいます。

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